株式会社富士経済は、脱炭素、労働力不足・コスト高騰などへの対応で最適なエネルギー運用を目的に注目が集まるEMS関連(システム、サービス、ハードウェア)の国内市場を調査し、その結果を「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2026」にまとめました。
この調査では、EMS・関連システム11市場(EMS市場とその関連システム市場)、関連サービス4市場、関連ハードウェア10市場の最新動向をまとめ、将来を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2026」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
EMS関連(システム、サービス、ハードウェア)の国内市場
2025年度のEMS関連市場は、製造業を中心としたサプライチェーン全体での脱炭素対策の進展により、エネルギーの見える化需要が高まり、拡大しています。また、脱炭素・エネルギーコスト削減対策として、省エネや再エネ導入に関連するEMSや、EMS関連のシステム、ハードウェアが市場を押し上げています。特に、DR(デマンドレスポンス)やVPP(バーチャルパワープラント)に関わる蓄電所ビジネスの活況に伴って系統用の蓄電システムが好調です。また、脱炭素だけでなく労働力不足を背景にAIやクラウド環境を活用した遠隔監視や運用・保全業務の外部化ニーズが高まっており、太陽光発電遠隔監視システムの伸長などが目立ちます。
2026年度は、工場など製造業の現場に加え、店舗など業務施設でも脱炭素を目的とした導入が本格化し、裾野の広がりによって引き続き市場拡大が予想されます。特に、需給調整市場(発電量と需要量をリアルタイムで一致させるため、電力広域的運営推進機関が調整力を取引・運用する仕組み)では、これまで火力発電やメガソーラー、高圧接続の大工場・大型蓄電池など「高圧リソース」だけが参加可能でしたが、2026年度より家庭用蓄電システムや電気自動車などの「低圧リソース」が加わるため、住宅向けEMS(HEMS)の導入増加が期待されます。さらに、労働力不足やコスト高騰を背景に、引き続き、AIやクラウド環境を活用した設備の遠隔監視や運用・保全のアウトソーシングが進むことで、市場は中長期的に拡大するとみられます。
◆注目個別市場サマリー
1.住宅向けEMS(HEMS)【EMS・関連システム】
住宅向けのEMSを対象とします。
2025年度は、GX志向型住宅補助事業により市場は拡大するとみられます。大手ハウスメーカーで太陽光発電システムや蓄電設備の設置が進み、HEMSにより住宅内のエネルギー使用量や使用状況を見える化し、場合によって機器を制御できることから、標準搭載が進展しています。居住者側も、HEMSを通じて提供される家電や住設機器の遠隔操作、見守り、セキュリティなどの機能にメリットを感じているため、付加価値の高い住宅という観点から大手ハウスメーカーを始め搭載を進めています。
今後も、付加価値の高い住宅を供給する上で、搭載が続くと予想されます。また、2026年度より、家庭用蓄電システムなどの低圧リソースが需給調整市場に加わるため、今後は低圧リソースの末端機器の位置づけでDR・VPPプラットフォームとしての需要が押し上げられ、成長が続くとみられます。将来的にはHEMSを通じて提供される機能の多様化が進むことも後押しし、2040年度は2024年度比69.8%増の107億円が予測されます。
2.空調設備監視制御システム【EMS・関連システム】
パッケージエアコンなどの空調設備、チリングユニットやターボ冷凍機などの熱源設備の稼働状態を監視し、複数設備・施設の管理を一元化するシステムを対象とします。
2025年度は、小規模かつ多店舗の空調設備の一括管理ニーズ向上を背景に、新たに店舗向けシステムが発売され、従来は大規模施設中心だった導入対象が小規模店舗にも広がっていることから市場が拡大しています。特に、設備管理者不足に伴って、省人化や省力化を求める事業者からの需要が高まっています。
2026年度以降の市場は、ビルなどの建物管理者不足による拠点統合監視ニーズの高まりに加え、企業の脱炭素経営の加速やエネルギー管理需要を背景に堅調な拡大が予想されます。中・長期的には、各業種向けのサービス展開によって中小規模事業者への普及が進むとみられます。加えて、2035年度頃には更新需要も予想されるため、2040年度の市場は2024年度比5.0倍が予測されます。
3.V2X対応自動車用充放電器【EMS関連ハードウェア】
EVやPHVなどの駆動用電池を利用し、建物や電力系統に対して電力供給を行う自動車用充放電器を対象とします。
補助金制度の恩恵を受けて2023年度は導入が好調でしたが、2024年度以降補助金の要件が厳しくなったことから市場は縮小しています。2025年度も、補助金総額が減少しているほか、EVの普及も停滞しているため、市場は2024年度比7.1%減が見込まれます。
しかし、今後は、FITの終了で、太陽光発電システムで発電した電力の、住宅での自家消費が増えることが予想されるため、この製品の市場拡大に繋がるとみられます。国の方針でも、新しいZEH(GX ZEH)の要件として太陽光発電システムと蓄電システムのセットが必須とされたことなどから、自家消費が後押しされる可能性は高いです。また、2035年度の新車販売の電動自動車(HVを含む)比率を100%にする目標も追い風となり、家庭内でエネルギーを取り廻していくようになるため、2040年度に向けて市場は大きく拡大するとみられます。
【参考】本記事で使用した「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2026」に掲載している調査対象市場
EMS・関連システム
- 住宅向けEMS(HEMS)
- 業務・産業向けEMS(BAS/BEMS/REMS/FEMS)
- CEMS(コミュニティ/エリア向け)
- EV向け充放電管理・制御システム
- 空調設備監視制御システム
- 創蓄連携EMS(ローカルEMS)
- 照明設備監視制御システム
- 蓄電設備監視制御システム
- 太陽光発電遠隔監視システム
- 建物OS/建物設備統合管理プラットフォーム
- 直流給電システム
EMS関連サービス
- 建物設備監視サービス
- エネルギーサービス(ESCO/ESP)
- 高圧一括受電サービス
- GHG排出量算定・可視化サービス
EMS関連ハードウェア
発電・蓄電
- 蓄電システム
- V2X対応自動車用充放電器
- コージェネレーションシステム/燃料電池
送配電・受電
- 見える化ツール
- 分電盤
- キュービクル式高圧受電設備
- 電力スマートメーター
- ガス絶縁開閉装置(GIS)
- 配電用変圧器
- 保護継電器
◆本記事は「エネルギーマネジメント・パワーシステム関連市場実態総調査 2026」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。