株式会社富士キメラ総研は、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、感染対策を施した製品ニーズが高まるなど、これまでとは異なる機能性にも注目が集まっている機能性高分子フィルムの市場を調査し、その結果を「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」にまとめました。
この調査では、ライフサイエンス・インダストリー関連の機能性高分子フィルムをライフサイエンス(6品目)、工業・自動車(10品目)、エネルギー(4品目)、土木・建築(6品目)、パッケージング(10品目)、バリアフィルム(5品目)の6分野に分類し、各品目の国内市場について現状を調査し、将来を予想しました。なお、22品目に関しては世界市場も捉えています。
※機能性高分子フィルム:ベースとなるプラスチックフィルムにコーティングや蒸着などの表面処理、ラミネートなどの多層化、フィラーなどとの複合化などにより機能を付与したフィルムです
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」の全体サマリー
1.エネルギー分野の機能性高分子フィルムの国内市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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542億円 |
99.3% |
983億円 |
180.0% |
太陽電池用封止フィルム、太陽電池用バックシート、LiB(リチウムイオン二次電池)用セパレーター、LiB用ラミネートフィルムを対象としました。
太陽電池用封止フィルムとバックシートは、ユーザーである太陽電池モジュールメーカーの生産拠点が海外へシフトしているため、市場は縮小しています。2021年以降の市場は、横ばいから微減が予想されます。
LiB用セパレーターとラミネートフィルムは、EV・HV市場の拡大に伴い、近年需要が大幅に増加してきました。LiB用セパレーターは、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けて、EV・HV市場の拡大ペースの鈍化などにより前年比1%程度の伸びにとどまりますが、2021年以降は毎年20%近い伸びが期待されます。LiB用ラミネートフィルムは、主にラミネート型LiBで使用されています。使用量の多いEV・HV向けがけん引して、2020年も引き続き堅調に伸びるとみられます。参入メーカーは生産能力の増強など旺盛な需要への対応を進めていることから、今後の伸びが期待されます。
2.ライフサイエンス分野の機能性高分子フィルムの国内市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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525億円 |
112.7% |
558億円 |
119.7% |
抗菌・抗ウイルスフィルム、飛沫防止シート、テープ剤用離型フィルム、薬栓用バリアフィルム、PTPシート、通気性フィルムを対象としました。用途によって、新型コロナウイルス感染症対策品(抗菌・抗ウイルスフィルム、飛沫防止シート)、医薬品関連資材(テープ剤用離型フィルム、薬栓用バリアフィルム、PTPシート)、その他用途フィルム(通気性フィルム)に大別されます。
2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により、抗菌・抗ウイルスフィルムや飛沫防止シートの需要が急増しました。特に抗菌・抗ウイルスフィルムは、今後も堅調な需要を維持するとみられ、ウイルスが付着してから不活性化させるまでの時間短縮や対応ウイルス種類の増加などに対応する製品開発が進められています。
医薬品関連資材では、テープ剤用離型フィルムは、通院を控える動きがあり需要が減少していますが、全身作用型のテープ剤の適応領域拡大が進められており、それらで需要増加が期待されます。PTPシートと薬栓用バリアフィルムは景気変動の影響を受けにくいため堅調に伸びるとみられます。
通気性フィルムは、2018年以降、主要用途である紙おむつがインバウンド需要の減退や子供用おむつの生産量減少により、需要が減少しています。大人用紙おむつでは増加しますが、全体では需要は微減が続くとみられます。
3.パッケージング分野の機能性高分子フィルムの国内市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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274億円 |
97.2% |
302億円 |
107.1% |
食品、医薬品、機械部品などさまざまな包装資材および関連材料として使用される、方向性フィルム、防湿フィルム、吸湿フィルム、脱酸素フィルム、鮮度保持フィルム、におい吸着フィルム(ガス吸着フィルム)、耐熱ラベル、イージーピールフィルム、低吸着フィルムを対象としました。
規模の大きいイージーピールフィルムや鮮度保持フィルムの堅調な伸びが市場拡大をけん引してきました。2020年は、耐熱ラベルや方向性フィルムなどの需要が落ち込んだため、市場は一時的に縮小しますが、2021年以降は拡大が予想されます。
イージーピールフィルムは、食品の個包装化や賞味期限延長ニーズの高まりにより、コンビニエンスストアなどで密閉性の高いイージーピールフィルムを使用したパッケージが増えるため、伸びが期待されます。また、耐熱ラベルは、2020年は自動車や半導体での需要減少により落ち込みましたが、2021年以降は最終製品の生産量回復により伸びるとみられます。小規模ですが、医薬品のパッケージングで使用されるにおい吸着フィルムや低吸着フィルムも需要増加が予想されます。
4.2020年から2024年の品目別CAGRランキング(国内市場)
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品目 |
2020年-2024年 |
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1 |
LiB用セパレーター |
18.1% |
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2 |
LiB用ラミネートフィルム |
17.5% |
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3 |
EV・HVモーター用絶縁フィルム |
12.9% |
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4 |
抗菌・抗ウイルスフィルム |
10.4% |
EV・HVモーター用絶縁フィルムやLiB用セパレーター、LiB用ラミネートフィルムは、2020年はやや苦戦していますが、2021年以降はEV・HV市場の拡大に伴い、大きな伸びが期待されます。また、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、抗菌・抗ウイルスフィルムは今後も堅調な需要が予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.抗菌・抗ウイルスフィルムの国内市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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50億円 |
10.0倍 |
74億円 |
14.8倍 |
新型コロナウイルス感染症対策品としての需要を取り込み、2020年に市場は本格化しました。新規参入が相次いでおり、SIAA(抗菌製品技術協議会)の抗ウイルス性能認証試験による認証の取得が進むことにより、2021年は新製品の発売などが増えるため、さらなる市場拡大が予想されます。
2022年以降は製品の供給過多が懸念されるとともに、製品間での淘汰が進むため、2021年が市場のピークになるとみられます。しかし、抗菌・抗ウイルス性能が多機能フィルムの一部という位置付けとなり、一定の需要を維持するため、市場は70億円前後で推移するとみられます。一方、建材やインテリア雑貨、ガラスや化粧シートなどでは、抗菌・抗ウイルス性能を標準装備とする製品の開発が進んでいるため、抗菌・抗ウイルスフィルムの需要動向に影響する可能性もあります。
2.EV・HVモーター用絶縁フィルムの世界市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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世界市場 |
38億円 |
105.6% |
97億円 |
2.7倍 |
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国内市場 |
10億円 |
90.9% |
16億円 |
145.5% |
※国内市場は世界市場の内数です
EV・HVの駆動用モーター・ジェネレーター(発電用モーター)に内蔵される絶縁材の内、スロットライナーやウェッジ、相間絶縁紙用のフィルムを対象としました。
2020年の世界市場は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けながらも、EV・HVの生産台数は増加するため、市場は前年比5.6%増が見込まれます。欧州をはじめ各国が環境規制強化、ガソリン車の廃止政策を進めるため、EV・HVの生産台数は大幅に増加し、2021年以降市場は高成長を続けるとみられます。また、排ガス規制強化の中でモーター容量(出力)の大きいEV・HVが増えることも、市場拡大の追い風になると期待されます。
2020年の国内市場は、EV・HV向けの需要が低調なため、前年比約10%縮小するとみられます。2021年以降は、EV・HVの生産台数が大幅に増加するため、2021年は前年比約20%の伸び、以降も10%前後の伸びが予想されます。
【参考】本記事で使用した「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」に掲載している調査対象市場
ライフサイエンス分野
- 抗菌・抗ウイルスフィルム
- 飛沫防止シート
- テープ剤用離型フィルム
- 薬栓用バリアフィルム
- PTPシート
- 通気性フィルム
工業・自動車分野
- 自動車用ウィンドウフィルム
- 加飾フィルム
- 転写フィルム
- 自己修復フィルム
- 自動車用熱転写箔
- 産業用絶縁フィルム
- EV・HVモーター用絶縁フィルム
- 電線用フィルム(ワニス含む)
- CFRP用離型フィルム
- 防錆フィルム
エネルギー分野
- 太陽電池用封止フィルム
- 太陽電池用バックシート
- LiB用セパレーター
- LiB用ラミネートフィルム
土木・建築分野
- 化粧シート
- ラミネート鋼板用フィルム
- 印刷メディア用フィルム
- 建築用ウィンドウフィルム
- 調光フィルム
- コンクリート剥落防止シート
パッケージング分野
- 方向性フィルム
- 防湿フィルム
- 吸湿フィルム
- 脱酸素フィルム
- 鮮度保持フィルム
- におい吸着フィルム(ガス吸着フィルム)
- 耐熱ラベル
- イージーピールフィルム
- 賞味期限延長トップシール・フィルム
- 低吸着フィルム
バリアフィルム分野
- アルミ蒸着フィルム
- 透明蒸着フィルム
- PVDCコートフィルム
- その他バリアフィルム
- ハイバリアフィルム
◆本記事は「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 ライフ・インダストリーフィルム編」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。