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国内医療用医薬品市場の中枢神経、血液、免疫関連などの希少疾患領域177品目を調査。2040年市場予測(2024年比)で1兆2.354億円(69.7%増)と推計

株式会社富士経済では、国内の医療用医薬品市場の調査として『2025年版 医療用医薬品フォーキャストデータ No.2』をまとめました。No.2では、①開発品あり、②国内に治療薬あり、③患者数100人以上のいずれかを満たす希少疾患領域13分類177品目の医療用医薬品市場について、薬効分類別、医薬品区分別に現状を把握し、開発品や政策の動向、パテントクリフなどを加味して2040年まで展望しています。現在日本では、海外で開発された新薬の承認が大幅に遅れる「ドラッグ・ラグ」、海外で発売中の新薬が未発売となっている「ドラッグ・ロス」が深刻化しており、厚生労働省はドラッグ・ロスの解消に向け、医療上必要性が高い品目については国内企業への開発要請などを行う方針を示しています。希少疾患領域は該当する疾患も多いとみられることから、新薬開発の追い風が期待されています。本記事では当該資料から一部分となりますが全体像と注目市場を取り上げてご紹介します。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、『2025年版 医療用医薬品フォーキャストデータ No.2』をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

◆当該資料の全体サマリー

1.希少疾患領域13分類177品目の医療用医薬品市場の全体像

希少疾患領域は、これまで薬剤療法のアプローチが限定的でしたが、徐々に新薬が出揃いつつあります。こうした新薬の発売がアンメット・メディカル・ニーズに応えるとともに、潜在患者の顕在化を進め希少疾患領域市場を拡大させており、今後は医療用医薬品市場を底上げする領域に成長すると予想されています。

中枢神経関連の市場は、重症筋無力症治療剤、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療剤がけん引しています。「エンスプリング」(中外製薬)などの主要製品の伸長と開発品の発売により今後も市場は拡大すると思われます。
血液関連の市場は規模が大きく、希少疾患領域市場の4割近くを占めます。新薬の発売が多く、新薬候補も豊富となっています。今後は血小板減少症治療剤や発作性夜間ヘモグロビン尿症治療剤、HAE治療剤を中心に市場拡大が続くと思われます。内分泌・代謝関連の市場は、ヒト成長ホルモン剤がけん引しています。今後は軟骨無形成症治療剤の伸長が期待されています。免疫関連の市場は、移植片対宿主病治療剤がけん引しています。今後は全身性血管炎治療剤の伸長が期待されています。遺伝性疾患関連の市場は、ライソゾーム病治療剤がけん引しています。今後は2022年に発売された神経線維腫症治療剤「コセルゴ」(アレクシオンファーマ)が市場拡大に寄与すると思われます。膠原病関連の市場は、低ホスファターゼ症治療剤がけん引しています。今後は2024年に「アセノベル」(ノーベルファーマ)が発売されたことで処方が始まったミオパチー治療剤を中心に拡大すると思われます。循環器関連の市場は、全身性アミロイドーシス治療剤がけん引し、今後も順調に拡大すると思われます。腎・泌尿器関連の市場は、多発性嚢胞腎治療剤がけん引していています。今後は開発品が豊富なループス腎炎治療剤の伸長が期待されています。消化器関連の市場は原発性胆汁性胆管炎治療剤、呼吸器関連の市場は重症α-アンチトリプシン欠乏症やリンパ脈管筋腫症(LAM)治療剤が発売されているのみで、小規模となっています。今後は消化器関連で好酸球性消化管疾治療剤の発売が予定されており、そのほか開発品もあることから市場は徐々に拡大すると思われます。皮膚関連や整形関連の希少疾患では、現在発売されている治療剤はない。今後開発品の発売や開発の着手が期待されています。その他では、好酸球性副鼻腔炎、肝類洞閉塞症候群、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の治療剤が発売されており、その市場は2040年には2024年比3.4倍になると予測されています。

◆注目個別市場サマリー

1.中枢神経関連市場

2040年市場予測(2024年比)で、中枢神経関連は2,774億円(83.0%増)に伸長。重症筋無力症治療剤、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療剤が市場をけん引し、主要製品の伸長と開発品の発売により今後も拡大すると予測しています。

中枢神経関連は、多発性硬化症、重症筋無力症、筋ジストロフィー、脊髄小脳変性症(SCD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)などの治療薬を対象としています。

重症筋無力症治療剤、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療剤、多発性硬化症治療剤の順に規模が大きく、3つの治療薬で2024年市場の7割近くを占めています。重症筋無力症治療剤と視神経脊髄炎スペクトラム障害治療剤は、新薬が相次いで発売されたことで治療の選択肢が広がり、治療患者の顕在化によって市場を底上げしています。重症筋無力症治療剤は国内外で開発品が複数あることから、それらの発売により更なる伸長が期待されています。

一方、期待の新薬であった脊髄性筋萎縮症治療剤は、発売以降急激に伸長してきましたが、2024年にはほぼピークに達しています。患者数が限られているうえに患者の中心が乳幼児であるため少子化の影響を受けており、中長期的にはマイナス推移が予想されています。

2.血液関連市場

血液関連は、血友病、血小板減少症(免疫性血小板減少症(ITP)・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)含む)、血液製剤、HAE(遺伝性血管性浮腫)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、自己免疫性溶血性貧血などの治療薬を対象としています。

血友病治療剤の規模が最も大きく、2024年市場の4割強を占めています。血友病治療剤は、薬価引き下げの影響により、2025年、2026年と一時的に前年比マイナスになるとみられます。2024年以降に発売された新薬の伸びにより、2027年には前年比プラスに転じ、2030年以降は、期待度の高い開発品が複数発売されるものの、希少疾患で患者数が限定されることもあり、微増または横ばいが予想されています。

一方で、HAE治療剤は、2021年の「オラデオ」(鳥居薬品)、2022年の「タクザイロ」(武田薬品工業)の発売によって治療の選択肢が増えています。中長期的にHAE治療剤としては初となる経口剤の発売が予想されるため注目度が高まっています。また、発作性夜間ヘモグロビン尿症治療剤は、2023年以降新薬の発売が続き製品が増えています。現在フェーズⅢにある開発品の発売も期待されています。さらに、血小板減少症治療剤は、2022年以降、新薬の発売が相次いでおり、今後も複数の開発品の発売が期待されており、これらを中心に市場は拡大が予想されています。

3.免疫関連市場

免疫関連は、全身性血管炎(ANCA関連血管炎含む)、原発性免疫不全症候群(無又は低ガンマグロブリン血症)、移植片対宿主病、クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)、アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA欠損症)などの治療薬を対象としています。

移植片対宿主病治療剤の規模が最も大きく、2024年市場のおよそ4割を占めています。「イムブルビカ」(ヤンセンファーマ)や「ジャカビ」(ノバルティス ファーマ)が伸びているほか、2024年の「レズロック」(Meiji Seika ファルマ)の発売に伴い、2025年はさらに伸長するとみられます。

移植片対宿主病治療剤に次いで規模が大きいのが全身性血管炎治療剤です。新規作用機序を持つ「タブネオス」(キッセイ薬品工業)や「ヌーカラ」(グラクソ・スミスクライン)による患者の掘り起こしが進んでいるほか、2025年には気管支喘息治療剤の「ファセンラ」(アストラゼネカ)が全身性血管炎の一つ、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に適応拡大したことで急伸長しています。

免疫関連は、新薬の投入が活発であり、従来から処方されてきた免疫抑制剤から新規作用機序の新薬へ処方シフトが進んでいます。

【参考】本記事で使用した『2025年版 医療用医薬品フォーキャストデータ No.2』に掲載している調査対象市場

希少疾患

中枢神経関連

  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • 筋ジストロフィー
  • 脊髄小脳変性症(SCD)
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脊髄性筋萎縮症(SMA)
  • ハンチントン病
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)/多巣性運動ニューロパチー(MMN)
  • 視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • その他中枢神経関連の治療薬

血液関連

  • 血友病
  • 血小板減少症(免疫性血小板減少症(ITP)・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)含む)
  • 血液製剤
  • その他血液疾患(止血剤・鉄剤)
  • フォン・ヴィレブランド病
  • HAE(遺伝性血管性浮腫)
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
  • 自己免疫性溶血性貧血
  • 再生不良性貧血
  • 後天性赤芽球癆
  • その他血液関連の治療薬

内分泌・代謝関連

  • ヒト成長ホルモン剤
  • 軟骨無形成症
  • 甲状腺眼症(バセドウ病眼症)
  • 脂肪萎縮症
  • ビタミンD抵抗性くる病(低リン血症性くる病)/骨軟化症
  • 急性肝性ポルフィリン症(AHP)
  • クッシング症候群
  • 先天性胆汁酸代謝異常症
  • その他内分泌・代謝関連の治療薬

免疫関連

  • 全身性血管炎(ANCA関連血管炎含む)
  • 原発性免疫不全症候群(無又は低ガンマグロブリン血症)
  • 移植片対宿主病
  • クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)
  • アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA欠損症)
  • その他免疫関連の治療薬

遺伝性疾患関連

  • ウィルソン病
  • ライソゾーム病
  • 神経線維腫症
  • 結節性硬化症(プリングル病)
  • その他遺伝性疾患関連の治療薬

膠原病関連

  • 強皮症
  • 成人発症スチル病
  • 低ホスファターゼ症
  • ミオパチー
  • その他膠原病関連の治療薬

循環器関連

  • 全身性アミロイドーシス
  • 巨細胞性動脈炎
  • 肺動脈性肺高血圧症
  • 家族性地中海熱
  • その他循環器関連の治療薬

腎・泌尿器関連

  • ループス腎炎(全身性エリテマトーデスに起因する腎炎)
  • 間質性膀胱炎(ハンナ型)
  • フェニルケトン尿症(高フェニルアラニン血症(HPA))
  • 尿素サイクル異常症
  • アジソン病
  • 多発性嚢胞腎
  • 非典型性溶血性尿毒症
  • 中枢性尿崩症(バソプレシン分泌低下症)
  • その他腎・泌尿器関連の治療薬

消化器関連

  • 原発性胆汁性胆管炎
  • 好酸球性消化管疾患
  • その他消化器関連の治療薬

呼吸器関連

  • 重症α-アンチトリプシン欠乏症
  • リンパ脈管筋腫症(LAM)
  • その他呼吸器関連の治療薬

皮膚関連

  • その他皮膚関連の治療薬

整形関連

  • その他整形関連の治療薬

その他

  • 好酸球性副鼻腔炎
  • 肝類洞閉塞症候群
  • クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  • その他関連の治療薬

◆本記事は『2025年版 医療用医薬品フォーキャストデータ No.2』より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。