本文にスキップする

富士経済グループ 市場調査サポートサイト

2030年度の通信機器国内市場を4兆1,774億円、通信サービス国内市場を12兆3,633億円と推計。「GIGAスクール構想」や「IOWN構想」など注目ポイントも整理

株式会社富士キメラ総研は、個人向けでは高速大容量通信の利用増加、法人向けではSaaSや生成AI、クラウドサービス需要増による広帯域化/安定化ネットワーク構築ニーズ拡大、文教向けの「GIGAスクール構想」などを受けた設備投資の増加などにより、緩やかな拡大を続ける通信機器・通信サービスの国内市場を調査しました。その結果を「2025 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」にまとめました。

この調査では、通信機器28品目(ネットワーク関連製品12品目、音声関連製品3品目、放送関連製品3品目、会議関連製品4品目、移動体通信端末3品目、移動体通信基地局関連製品3品目)、通信サービス22品目(インターネット接続サービス3品目、移動体通信サービス3品目、固定データ通信サービス8品目、音声関連サービス3品目、その他サービス5品目)の市場について現状を調査し、将来を予想しました。また、放送システムのIP化、産業用ネットワークの動向、通信における生成AI活用の影響、また、「GIGAスクール構想」や次世代情報通信基盤である「IOWN構想」への取り組みなど注目ポイントを整理しました。

なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2025 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。

◆当該資料の全体サマリー

通信機器・通信サービスの国内市場

633266.png

通信機器では、移動体通信端末がNTTドコモの3Gサービス終了に向けた施策やサービス事業者が取り組むMNP(Mobile Number Portability)ユーザー獲得施策などによる端末買い替え促進や、「GIGAスクール構想第2期」に伴うタブレット端末の需要増などにより、2025年度は大きく伸びています。ネットワーク関連製品はL2/L3スイッチのLAN増設や高速化、無線LAN機器ではオフィスなどでの複数端末利用に際した高速化需要への対応などで好調です。また、市場規模は小さいですが、放送関連機器であるビデオエンコーダー/デコーダーやビデオルーターなども伸びており、2025年度の通信機器市場は前年度比10.1%増が見込まれます。

今後は、年度によって波はありますが、「GIGAスクール構想第2期/第3期」に伴うL2/L3スイッチや無線LAN機器、タブレット端末の需要増が期待されます。放送関連機器も放送のIP化進展に伴い、順調な伸びが予想されます。音声関連や移動体通信基地局関連製品は縮小しますが、他の分野はリプレース需要も取り込み緩やかな伸びが予想されます。また、「IOWN構想」の本格化に伴う関連投資の増加も市場拡大を後押しするとみられます。

通信サービスでは、移動体通信サービスが自動販売機やスマートメーター、車載などをはじめとするモノ向けサービスの成長や、衛星通信サービスが携帯電話サービスのエリア外需要や災害/BCP需要を獲得し伸びています。また、インターネット接続サービスでは個人向けのWebサイトや動画、ゲーム、法人向けのIaaS/PaaSやSaaS、生成AIの利用増加などにより1Gbps超のサービスの利用が増えています。音声関連サービスは縮小が続いていますが、ほかのサービス分野が緩やかに伸びていることから、2025年度の通信サービス市場は前年度比2.2%増が見込まれます。

今後、移動体通信サービスでは個人向けを中心にコンテンツ利用増加に伴う高容量プランへの移行によりARPU(Average Revenue Per User)向上が進むほか、固定データ通信サービスではユーザー企業が最適なクラウド接続を行うためのマルチクラウド接続サービスの需要が増加し、加えて、移動体通信キャリアのインフラ整備に欠かせないインフラシェアリングサービスなどが伸びることから、市場は緩やかな拡大が予想されます。また、継続的な広帯域需要の増加やSASE(Secure Access Service Edge)/ゼロトラスト関連ネットワークに対応したサービスの需要増加も期待されます。一方で、閉域網ニーズも底堅いため、当面は閉域網とインターネットのハイブリッド環境の構築に向けた投資も予想されます。なお、「IOWN構想」については、主に固定データ通信サービスで取り組みが進んでいます。

◆注目個別市場サマリー

1.マルチクラウド接続サービス

562347.png

クラウド接続拠点を介して複数のクラウドサービスとの閉域接続を実現するサービスを対象とします。単独サービスとして提供されるケースと、IP-VPNサービスや広域イーサネットサービスなどのオプションとして提供されるケースがあります。市場はクラウドサービスとの接続利用料金で捉えました。

コロナ禍を契機に企業のクラウドサービスへの接続機会が増えたことを受け、セキュアな通信が可能な点や、クラウドサービスへの接続方法や帯域を必要に応じて選択できる点、閉域環境下でクラウドサービス同士の相互接続が実現できる点などにより導入が進んでいます。

通信キャリアやSIベンダー、データセンター事業者がサービスを提供しており、回線サービスやマネージドサービスとの組み合わせや、保有データセンターサービスとの組み合わせ、SI案件への組み込みなど多様な提供形態があります。

クラウドサービスへの接続機会の多い大手企業、業種別では金融業や公共機関をはじめ情報通信業や製造業など業務でのクラウド利用が進んでいるユーザーが多いです。現時点では複数クラウドサービスの利用を想定した導入は限定的であり、既存のクラウド接続サービスからのリプレースや、将来的な複数クラウドサービス接続を見据えた導入が中心です。接続先クラウドサービスとしては「Amazon Web Services」や「Microsoft Azure」「Microsoft 365」への接続ニーズが高いです。

企業のクラウドサービス利用が増えているため、今後も大幅な市場拡大が予想されます。複数クラウド接続を前提とした導入は現時点では一部にとどまっていますが、クラウドサービス同士の相互接続や企業による複数クラウドサービスの活用本格化により、このサービス需要が高まるため、当面は高い成長率を維持するとみられます。

2.インフラシェアリングサービス

507582.png

移動体通信キャリアや移動体通信基盤整備協会以外の事業者が、移動体通信キャリアに対して共同利用できるアンテナや基地局などを設置するための土地や建物、鉄塔などを提供するサービスです。商業施設、オフィスビルなど施設内のネットワーク整備を目的としたサービスを屋内向け、鉄塔・電柱・屋上局など屋外キャリアネットワーク整備のためのサービスを屋外向けとしました。市場は提供サービスの利用料収入で捉えました。

屋内向けは、このサービスのパイオニアであるJTOWERが積極的な事業展開を進め、また、徐々に参入事業者が増えたことから、市場は堅調に拡大してきました。特に2024年度頃から、移動体通信キャリアが屋内向けサービスの設備整備を優先して行っていることから、市場は大幅に伸びています。2025年度は、移動体通信キャリアが営業利益率向上を目的に基地局増設などの設備投資を抑制しているため、このサービスの需要が増えています。2026年度以降も、移動体通信キャリアは人材不足や設備投資抑制の意向から、通信インフラの運用負担削減の取り組みを進め、施設所有者も不動産価値を高めるため通信環境の向上を図ることから、長期的な市場拡大が予想されます。

屋外向けは、屋内向けに先行して市場が拡大してきました。2024年度以降、JTOWERによる大手移動体通信キャリアの鉄塔の移管整備が進んだことや、「大阪・関西万博」の大型イベントなどでサービス利用が進展したことから、市場は堅調に拡大しています。今後、参入企業の増加に伴いサービスエリアの拡大が進み、市場は拡大が続くとみられます。

【参考】本記事で使用した「2025 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」に掲載している調査対象市場

通信機器

ネットワーク関連製品

  • WDM
  • PONシステム
  • メディアコンバーター
  • L2/L3スイッチ
  • 産業用スイッチ
  • ホワイトボックススイッチ
  • ホワイトボックス用NOS
  • 無線LAN機器
  • 産業用無線LAN機器
  • ルーター
  • IoTゲートウェイ
  • RADIUSサーバー

音声関連製品

  • 呼制御装置
  • 構内PHSシステム
  • SBC

放送関連製品

  • ビデオルーター
  • エンコーダー/デコーダー
  • タイムサーバー

会議関連製品

  • インタラクティブホワイトボード
  • ワイヤレスプレゼンテーションシステム
  • 会議用マイクスピーカー
  • 360度カメラスピーカーフォン

移動体通信端末

  • ハンドセット
  • タブレット端末
  • Wi-Fiモバイルルーター

移動体通信基地局関連製品

  • 移動体通信基地局
  • ローカル5G/プライベートLTEシステム
  • DAS

通信サービス

インターネット接続サービス

  • FTTHサービス
  • CATVインターネットサービス
  • ISPサービス

移動体通信サービス

  • 携帯電話サービス
  • MVNOサービス
  • 衛星通信サービス

固定データ通信サービス

  • IP-VPNサービス
  • 広域イーサネットサービス
  • インターネットVPNサービス
  • SD-WANサービス
  • イーサネット専用線サービス
  • 波長貸しサービス
  • マルチクラウド接続サービス
  • CDNサービス

音声関連サービス

  • 050-IP電話サービス
  • 0AB~J-IP電話サービス
  • クラウドPBXサービス

その他サービス

  • クラウド型無線LANサービス
  • リモートアクセスサービス
  • インフラシェアリングサービス
  • CPaaS
  • Web会議サービス

◆本記事は「2025 コミュニケーション関連マーケティング調査総覧」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。