株式会社富士キメラ総研は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を一部で受けているものの、テレワークや巣ごもり需要などが追い風になっているケースもみられ、世界経済の回復とともに堅調な拡大が期待される、エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムの市場を調査しました。その結果を「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」にまとめました。
この調査では、エレクトロニクス関連の機能性高分子フィルムをLCD・OLED(8品目)、タッチパネル(4品目)、半導体(4品目)、実装(11品目)、その他(10品目)の5分野に分類し、各品目の世界市場について現状を調査し、将来を予想しました。
※機能性高分子フィルム:ベースとなるプラスチックフィルムにコーティングや蒸着などの表面処理、ラミネートなどの多層化、フィラーなどとの複合化などにより機能を付与したフィルムです
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」の全体サマリー
1.半導体分野の機能性高分子フィルムの世界市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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528億円 |
99.8% |
563億円 |
106.4% |
バックグラインドテープ、ダイシングテープ、ダイボンドフィルム、半導体封止用離型フィルムを対象とします。半導体の後工程で必要な材料であるため安定した需要が続いています。
2020年の市場はテレワーク実施企業の増加や巣ごもり需要に伴うノートPCやタブレット端末、Wi-Fiルーター、サーバー市場などの好調により、シリコンウエハーの需要が増加していることから数量ベースでは拡大しています。しかし、価格の下落や為替の影響により金額ベースでは微減するとみられます。
今後はデータセンター向けのメモリーや車載でのシリコンウエハーの需要増加に伴い、バックグラインドテープやダイシングテープを中心に堅調な伸びが予想されます。
2.実装分野の機能性高分子フィルムの世界市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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4,259億円 |
103.4% |
4,723億円 |
114.6% |
非導電性接着フィルム、異方導電性フィルム、FCCL(2層・3層)、低誘電用FCCL基材、FPC用離型フィルム、層間絶縁フィルム(アディティブ基板用)、カバーレイフィルム、ドライフィルムレジスト、フィルム状ソルダーレジストを対象とします。各種基板向けの構成部材や工程用フィルムとして採用されるため、市場は最終製品であるスマートフォンや自動車などの生産動向の影響を受けます。2020年は一部の品目で縮小がみられたものの、需要は堅調であり、今後も市場拡大が予想されます。
市場規模の大きいドライフィルムレジストは、2020年はスマートフォンや自動車市場が低調なため使用される基板の需要減少にともない縮小するとみられますが、2021年以降はそれら最終製品の市場拡大とともに伸びるとみられます。FCCL(2層・3層)やカバーレイフィルムは、フレキシブルプリント基板(FPC)の需要に連動し、今後は5G通信対応スマートフォンの普及に伴い、堅調な伸びが予想されます。低誘電用FCCL基材は、市場規模は小さいですが、5G通信対応スマートフォンを中心とした低誘電ニーズの増加によって大きく伸びており、今後の伸びをけん引するとみられます。
3.LCD・OLED分野の機能性高分子フィルムの世界市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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7,433億円 |
101.2% |
7,681億円 |
104.6% |
偏光子保護フィルム、表面処理フィルム、バックライト用光学フィルム、プロテクトフィルム、FPD用離型フィルム、円偏光板用位相差フィルム、QDシート、耐屈曲性フィルムを対象とします。
LCD関連は、2020年はTVやPC、タブレット端末市場が好調なため、数量ベースでは偏光板の構成部材である偏光子保護フィルム、表面処理フィルム(LCD向け)が大きく伸びており、今後も需要増加が予想されます。しかし、金額ベースでは低価格製品を展開する中国メーカーのシェア上昇により、ユーザーからの値下げ要求が厳しくなっているため、バックライト用光学フィルムや偏光子保護フィルム、表面処理フィルム(LCD向け)などは微減が予想されます。OLED関連は、OLEDパネル市場の拡大が続いており、円偏光板で使用される円偏光板用位相差フィルム、表面処理フィルム(OLED向け)などの需要が増加しています。
◆注目個別市場サマリー
1.円偏光板用位相差フィルムの世界市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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158億円 |
111.3% |
352億円 |
2.5倍 |
OLEDパネルに搭載される円偏光板に組み込まれる位相差フィルム(波長板)を対象としました。OLEDパネルは、従来スマートフォン向けの中小型が中心でしたが、近年はTV向けも伸びており、連動して市場は拡大しています。
延伸フィルムタイプ、液晶コーティングタイプ、延伸フィルム+液晶コーティングタイプに分けられます。従来は延伸フィルムタイプや延伸フィルム+液晶コーティングタイプが主流であったが、液晶コーティングタイプが「iPhone X」などで採用された2017年以降大きく伸びており、現状は大部分を液晶コーティングタイプが占めています。
OLEDディスプレイは薄型化ニーズが高いため、新規設計では液晶コーティングタイプの採用が主流であり、今後も市場拡大をけん引するとみられ、2024年の市場は2019年比2.5倍の352億円が予測されます。一方、コスト削減を目的に低価格な延伸フィルムタイプに需要が回帰する可能性があり、その場合は市場拡大のペースは抑制されると懸念されます。
2.低誘電用FCCL基材(LCPフィルム、MPIフィルム)の世界市場
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2020年見込 |
前年比 |
2024年予測 |
2019年比 |
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LCPフィルム |
190億円 |
105.6% |
250億円 |
138.9% |
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MPIフィルム |
100億円 |
192.3% |
155億円 |
3.0倍 |
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合 計 |
290億円 |
125.0% |
405億円 |
174.6% |
低誘電用FCCL(フレキシブル銅張積層板)の基材となる低誘電樹脂フィルムとして、近年採用が増えているMPI(変性ポリイミド)フィルム、LCP(液晶ポリマー)フィルムを対象とします。一般的なFCCLに用いられるPIよりも誘電率・誘電正接が低い特性があります。
MPIフィルム、LCPフィルムともにスマートフォンのアンテナ用同軸ケーブル代替FPC向けなどで採用が広がっています。特に「iPhone」で採用が進んだことにより、LCPフィルムが先行して市場拡大をけん引しました。近年は他のスマートフォン機種にも採用が広がったことから順調に伸びています。MPIフィルムは2019年から本格採用が始まり、急速に需要が増えています。今後は中国スマートフォンメーカーへの供給が増加し、2021年以降も大幅な伸びが予想されます。
今後は5G通信の本格普及に伴うスマートフォンでの低誘電ニーズの拡大により、需要増加が期待されます。誘電特性やコスト面などから、Sub6の5G通信対応製品ではMPIフィルム、ミリ波の5G通信対応品製品ではLCPフィルムの採用が進むと予想されます。また、低誘電用FCCL基材としては、MPIやLCP以外にも、フッ素フィルムやCOPフィルムなどが実用化に向けてサンプル供給が進められています。
【参考】本記事で使用した「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」に掲載している調査対象市場
LCD・OLED分野
- 偏光子保護フィルム
- 表面処理フィルム
- バックライト用光学フィルム
- QDシート
- プロテクトフィルム
- FPD用離型フィルム
- 円偏光板用位相差フィルム
- 耐屈曲性フィルム
タッチパネル分野
- 透明導電性フィルム
- ハードコートフィルム
- OCA
- カバーシート・背面板
半導体分野
- バックグラインドテープ
- ダイシングテープ
- ダイボンドフィルム
- 半導体封止用離型フィルム
実装分野
- 非導電性接着フィルム(NCF)
- 異方導電性フィルム(ACF)
- FCCL(2層・3層)
- 低誘電用FCCL基材
- 伸縮FPC
- 透明FPC
- FPC用離型フィルム
- 層間絶縁フィルム(アディティブ基板用)
- カバーレイフィルム
- ドライフィルムレジスト
- フィルム状ソルダーレジスト
その他分野
- ノイズ抑制シート
- 電磁波シールドフィルム
- 5G用フィルムアンテナ
- 偏光板(ディスプレイ以外)
- 透明導電性フィルム(タッチパネル以外)
- フィルムコンデンサー用フィルム
- MLCC用離型フィルム
- その他電気・電子用離型フィルム
- フィルムアクチュエーター
- RFIDインレット
◆本記事は「2021年版 機能性高分子フィルムの現状と将来展望 エレクトロニクスフィルム編」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。