株式会社富士経済は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い設備投資の抑制や工期遅れなどが影響し苦戦を強いられている業務・産業施設向け空調システムの関連機器市場を調査し、その結果を「2020年版 業務・産業施設向けHVAC国内市場の全貌」にまとめました。
この調査では、空調システム関連機器として熱源機器9品目、二次側機器8品目、快適性/IAQ機器5品目、AI/IoT関連3品目の市場を調査しました。また、業務・産業施設8区分の需要を分析しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「2020年版 業務・産業施設向けHVAC国内市場の全貌」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「2020年版 業務・産業施設向けHVAC国内市場の全貌」の全体サマリー
業務・産業施設向け空調システム関連機器市場
※熱源は熱源機器、二次側は二次側機器の略です
2019年の業務・産業施設向け空調システム関連機器の市場は、8,568億円(前年比106.6%)となりました。東京五輪特需や2018年の猛暑を契機とした学校空調特需、消費税増税前の駆け込み需要などを受け市場は拡大しました。
2020年は、前年の特需の反動や新型コロナウイルス感染症の流行に伴う設備投資の抑制や資材調達・工期遅れなどが影響し、市場は縮小するとみられ、7,362億円(前年比85.9%)が見込まれます。新型コロナウイルス感染症の影響は、2022年ごろまで続くとみられます。また、2030年にかけては新築需要が減少し、リプレース需要が中心となることから市場は横ばいで推移していくと予想されます。
市場が縮小する中で、快適性/IAQ機器は省エネや感染症対策などを目的にニーズが急速に高まっており、今後需要が増加するとみられます。中でも、単独運転の加湿器、除湿機、空気清浄機などが伸びています。また、従来は病院や産業施設などに限定されていたウイルス除去用フィルターは導入先が広がり伸びています。AI/IoT関連のBASや遠隔モニタリングも中小規模施設に普及することで今後の伸長が期待されます。
◆注目個別市場サマリー
1.全熱交換器
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2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
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156億円 |
99.4% |
217億円 |
138.2% |
全熱交換器とは、空調された室内から排気を行い、排気と同時に外気を吸気することで熱交換を行い、省エネ化を促すための機器であり、業務用と大規模施設に導入される設備用に大別されます。業務用は、ビルの天井に設置する、給排気用のファンを組み込んだ小型のユニット型機器を対象とします。設備用は、エアハンドリングユニット(AHU)の中に組み込む、もしくはAHUに外付けされる中大型のカセット型およびユニット型の機器を対象とします。
2020年の市場は、新型コロナウイルス感染症の流行により、導入計画の延期などが生じましたが、補助金の給付が始まったことから全熱交換器をはじめとした高機能換気設備の導入が進んだため、微減にとどまるとみられます。今後は、大規模施設におけるリプレース需要だけではなく、換気やIAQに対する関心が高まっていることから、中小規模施設にも導入が進み市場は拡大していくと予想されます。
2.単独運転加湿器
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2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
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17億円 |
89.5% |
20億円 |
105.3% |
業務・産業施設向けに使用される容量1~10kg/h未満の独立運転型の加湿器を対象とします。
1986年にウエットマスターが天井埋め込み型の「てんまい加湿器」を発売し、本格的に市場が立ち上がりました。これまで市場はインフルエンザ流行シーズンに罹患拡大を避けるため病院の待合室や高齢者福祉施設、文教施設などの需要を獲得し拡大してきましたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの施設で設置計画が延期になったことから、縮小するとみられます。2021年以降は、ウイルス全般に対する感染防止対策として一定以上の湿度を保った環境が求められることから、主に業務施設において加湿に対する意識が向上し、家庭用加湿器から単独運転加湿器への入れ替えが進むとみられ市場の拡大が期待されます。
3.単独運転空気清浄機
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2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
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23億円 |
2.1倍 |
15億円 |
136.4% |
別置型で電気集塵機とフィルターによる除塵を行い、単独運転が可能な汎用型の業務用空気清浄機(約40㎡以上の延床面積に対応した機種)を対象とします。
オフィスの喫煙室や分煙スペースなどに設置されていましたが、家庭用との能力差がほとんどなくなったことなどから、2019年まで市場は微減していました。2020年は、新型コロナウイルス感染症が流行したことで抗ウイルス対策への関心が高まり、従来空気清浄機を導入していなかった施設や、家庭用空気清浄機を導入していた施設において、対応面積が広くより高スペックな業務用空気清浄機を新規導入する動きが活発化しており、市場は大幅に拡大すると予想されます。しかし、特需的な導入は2021年ごろまでで、2022年ごろには収まるとみられます。中期的には、コロナ禍に伴い認知度が向上することから、コロナ禍前よりやや高い水準規模の需要で落ち着き、2030年にかけて更新需要などをもとに、横ばいから微増で推移すると予想されます。
4.ウイルス除去用フィルター
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2020年見込 |
前年比 |
2030年予測 |
2019年比 |
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20百万円 |
133.3% |
110百万円 |
7.3倍 |
ろ材に抗菌・殺菌・制菌・抗ウイルス剤などを固定化させ、捕集した菌やウイルスを不活化させる機能を有する空調向けエアフィルターを対象とします。
2019年まで導入先は産業施設(医薬品工場、食品工場など)や病院などに限定されていましたが、2020年に入り新型コロナウイルス感染症の流行により、オフィスや店舗、宿泊施設といった人が集まりやすい業務施設でも需要が増加しており、市場は大幅に拡大するとみられます。
ウイルス除去用フィルターは、捕集した細菌やウイルスを死滅・不活性化させることが可能です。捕集に限界があることや空調の省エネ性も一部損なわれるなどのデメリットもありますが、換気やIAQに対する関心が高まっていることから、今後も一定の需要を獲得し、市場の拡大は続くとみられます。
【参考】本記事で使用した「2020年版 業務・産業施設向けHVAC国内市場の全貌」に掲載している調査対象市場
施設
- 事務所
- 店舗
- 文教施設
- 病院・診療所
- データセンター
- 産業施設
- 倉庫
- 地域熱供給
熱源機器
- チリングユニット
- ターボ冷凍機
- コンデンシングユニット
- 吸収式冷凍機(吸収式冷温水機)
- パッケージエアコン
- ビル用マルチエアコン
- ガスエンジンヒートポンプエアコン
- ボイラ(蒸気、温水)
- 冷却塔
二次側機器
- エアハンドリングユニット
- ファンコイルユニット
- VAV/CAVユニット
- ユニットクーラー
- 冷凍・冷蔵ショーケース
- 外気処理ユニット
- 全熱交換器
- 個別空調向け室内機
快適性/IAQ機器
- 単独運転加湿器
- 単独運転除湿機
- 単独運転空気清浄機
- IAQセンサ
- ウイルス除去用フィルタ
AI/IoT関連
- BAS(Building Automation System)
- 遠隔モニタリング
- フロン回収機
◆本記事は「2020年版 業務・産業施設向けHVAC国内市場の全貌」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。