株式会社富士キメラ総研は、スマートフォン、ノートPCなどで増加する″AI対応製品"や、工場やインフラ、農業、スマートホーム、ヘルスケアなどの領域で導入が進む″IoT機器・サービス"に実装され、さまざまな機能をもたらすモジュール/デバイスの世界市場を調査しました。その結果を「AI/IoTを実現するモジュール/デバイス関連市場 2026」にまとめました。
この調査では、通信分野、センサー分野、発電・給電分野、アクチュエーター分野における注目のモジュール/デバイスの市場動向や技術動向、メーカー・研究機関の取り組み、注目アプリケーション動向を分析し、将来市場を展望しました。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「AI/IoTを実現するモジュール/デバイス関連市場 2026」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
分野別モジュール/デバイスの世界市場
通信分野11品目の市場は、2025年に前年比0.4%増の6兆8,798億円と見込まれます。LPWAモジュールは、IoT向けで搭載が期待されており、特に、LPWAモジュール(Unlicensed)が伸びるとみられます。Wi-Fiモジュールは、医療機器に搭載して遠隔医療に向けた動きが注目されています。基地局用デバイスは、6G通信が2030年頃にサービスインするとみられることから、2029年から2030年にかけて大きく伸びると予想されます。また、6G通信のサービスインにより移動体に向けた接続性の良い低遅延サービスが提供され始めることで、RFモジュール(5G ミリ波・6G)が2030年以降、自動車やスマートグラスなどで徐々に採用が増加していくと予想されます。フィルターデバイスは、新たな周波数帯、通信規格の登場により、従来のデバイスから材料や形状の変化が想定されます。特に、6Gで運用が想定されるテラヘルツ波は短距離超高速伝送を訴求しており、アプリケーションとしてサーバー内、サーバー間通信の無線化などが想定されます。
センサー分野10品目の市場は、2025年に前年比3.7%増の5兆3,976億円と見込まれます。自動車用LiDARは、自動運転レベル3以上の車両への搭載が期待されていますが、2024年は中国を中心にレベル2の車両への搭載が急速に進みました。今後はレベル3の車両の増加とともに伸長していくとみられます。産業用LiDARも省人化や自動化、リモート化のトレンドを背景に、スローモビリティ、測量、交通インフラ、建機・農機向けが引き続き伸びるとみられます。ミリ波レーダーは、屋内をメインとして用いられる人感センサーが主用途ですが、2030年以降は車室内モニタリング用途で採用が増加し、伸長していくとみられます。小型力覚センサーはヒューマノイドロボットの指で採用が期待され、においセンサーは産業分野をはじめ、食品、医療、酪農など多分野での展開が想定され、いずれも2028年に市場が立ち上がると予想されます。脳波計測機器は、医療向けを皮切りに採用が始まるとみられ、2030年以降量産化に進むと予想されます。
発電・給電分野5品目の市場は、2025年に前年比3.0倍の780億円と見込まれます。ワイヤレス給電は電波法改正による周波数帯の規制緩和の進展、熱電発電や振動発電などのエネルギーハーベストはIoTモジュールの増加に伴って伸長するとみられます。ペロブスカイト太陽電池は、国内・海外で量産化に向けた開発・実証実験が活発化しています。有機薄膜太陽電池は、環境意識の高い欧州において、鉛フリーであることを訴求した製品展開が行われています。
アクチュエーター分野4品目(※センサー付きロボットフィンガーは市場未算出のため除外)の市場は、2025年に前年比6.6%増の8,705億円と見込まれます。サーボモーターは、2024年までは中国の景気減退やユーザーの過剰在庫などの影響をうけましたが、2025年以降は堅調に推移すると予想されます。ハプティクス用アクチュエーターは、エンターテインメント、遠隔作業、ウェアラブル機器などが今後の有望用途になるとみられます。ピエゾアクチュエーターは、HDDサスペンションでの採用が多くなっています。ソフトアクチュエーターは、実証実験段階の製品が多く、本格的な市場形成には至っていません。
◆注目個別市場サマリー
1.LPWAモジュール(Licensed、Unlicensed)
LPWAモジュールは、低消費電力で広範囲の通信を可能にするLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを利用するためのモジュールです。コンシューマー用途では家電やホームIoT機器で需要が増加、産業用途では省人化や防災・減災といった観点で搭載が増えるとみられます。
ここでは移動体通信事業者が構築したネットワークインフラを介して通信するLicensedのモジュールと、そのインフラを介さずに民間・公共独自で通信ネットワークを構築するUnlicensedのモジュールに大別しました。
Licensedは、通信規格LTE-MやNB-IoT、Cat.1 bisに対応するモジュールを対象としました。LTE-MやNB-IoTのそれぞれに対応する単体モジュールよりも、二つの規格に対応するコンボモジュールの需要が高まっています。近年は、通信規格LTE Cat.1と同等の高速通信、LTE-M並みの低消費電力と低価格を併せ持つCat.1 bisが台頭しており、世界的にLTE-MやNB-IoTからの移行が進んでいます。特に、NB-IoTは送信できるデータ量が少ないということもあり、中国を筆頭とするインドや韓国、ロシアなどの地域でCat.1 bisへの移行が進むとみられます。なお、市場は、アフリカや中東などの2G/3Gのセルラーモジュールを使用している地域においてLPWAの採用が進むことで、拡大していくと予想されます。
Unlicensedは、通信規格LoRaやSigfox、Wi-SUN、ZETA、ZigBeeなどに対応するモジュールを対象としました。LoRaアライアンスには約400社が加入しており、海外では公共のLoRaWANが広がっています。そのため導入がしやすく、中国や欧米を中心に採用が進んでいます。欧米やオセアニアなどを中心にスマートメーターでの新規採用や寿命による置き換えなど安定した需要があり、LoRaモジュールの伸びは続くとみられます。Sigfoxも低消費電力と低価格という強みを生かして、産業で用いるセンサーや家畜監視などに採用されています。日本ではLoRaよりもSigfoxの採用率が高いです。
2.Wi-Fiモジュール
Wi-Fiチップや周辺回路などが一つにパッケージ化されたモジュール(規格区分:Wi-Fi4、Wi-Fi5、Wi-Fi6、Wi-Fi6E、Wi-Fi7)を対象としました。現在の主流はWi-Fi6とWi-Fi6Eです。なお、BluetoothやGPSとのコンボモジュールも含めました。
2025年の市場は、前年比0.8%増の4,581億円が見込まれます。スマートフォン向けとTV向けが市場をけん引しています。スマートフォンは、半導体チップをメイン基板に直実装するチップオンボードが多いものの、AppleやGoogleではモジュールを搭載しています。TVは、モジュール搭載率が世界出荷台数の約8割となっています。Wi-Fi5が主流ですが、ハイエンド機種ではWi-Fi6Eの採用が増えています。アジアやアフリカ向けは、Wi-Fi未搭載のTVが主流ですが、今後は搭載が増えるとみられます。プリンターとゲーム機は、Wi-Fi搭載率がほぼ100%で、いずれもモジュールでの搭載です。プリンターに搭載されている規格はWi-Fi6が主流ですが、今後Wi-Fi7の搭載も期待されています。エアコンは、ハイエンド機種出荷台数の約2割にモジュールが搭載されていますが、2035年にかけ搭載率は約4割まで上昇するとみられます。
3.ワイヤレス給電
電力を使って発振器が作り出した高周波の電磁波(マイクロ波)/レーザーをアンテナから放出し、それを受電側のアンテナがキャッチして電力に変換するマイクロ波方式のモジュールを対象としました。IoT機器向けやセンサー向けにはマイクロ波式を用いた空間伝送型WPTシステムが注目されています。
使用されている主な周波数帯は920MHz帯、2.4/5.7GHz帯、24GHz帯です。920MHz帯は波長が長く低損失であり、長距離かつ広範囲の給電が可能ですが、ビームの指向性が低く制御が難しいです。2.4/5.7GHz帯は中距離から長距離の給電を可能とし、920MHz帯よりも高精度な送電を行えますが、Wi-FiやBluetoothとの干渉などが懸念されています。24GHz帯は波長が短く高精度であり、ビームを絞ってピンポイントに送電することができます。しかし、伝送距離が短く、障害物があると給電が難しくなるうえ、コストが高いです。
2025年の市場は、前年比2.0倍の10億円が見込まれます。920MHz帯と2.4GHz帯の製品が市場を形成しています。現状、920MHz帯の製品は、特定の空間で多数の送電装置を使用して温湿度をはじめとした多数の環境センサーに給電する必要があるビルマネジメントシステムでの採用が多いです。
各国・地域では電波の干渉などを考慮して法規制されています。実証実験や安全性の確保状況に応じて規制が緩和されていくとみられますが、現状では5.7GHz帯や24GHz帯を中心に、規制緩和が進んでいない国や地域が多いです。日本では920MHzの規制が2025年に緩和され、世界的にも開発が進んでいる5.7GHz帯についても2026年度には規制緩和が期待されます。
【参考】本記事で使用した「AI/IoTを実現するモジュール/デバイス関連市場 2026」に掲載している調査対象市場
通信 11品目
- RFモジュール(LTE・5G Sub6)
- RFモジュール(5G ミリ波・6G)
- Wi-Fiモジュール
- UWBチップ
- LPWAモジュール(Licensed)
- LPWAモジュール(Unlicensed)
- 衛星通信モジュール
- 基地局用アンテナ
- 基地局用RRH・RU
- フィルターデバイス
- タイミングデバイス
センサー 10品目
- 小型カメラモジュール
- ディスプレイ内蔵型指紋センサー
- 自動車用LiDAR
- 産業用LiDAR
- ミリ波レーダー
- ロータリーエンコーダー
- 小型力覚センサー
- においセンサー
- 味覚計測機器
- 脳波計測機器
発電・給電 5品目
- ワイヤレス給電
- 熱電発電
- 振動発電
- ペロブスカイト太陽電池
- 有機薄膜太陽電池
アクチュエーター 5品目
- センサー付きロボットフィンガー
- サーボモーター
- ハプティクス用アクチュエーター
- ピエゾアクチュエーター
- ソフトアクチュエーター
◆本記事は「AI/IoTを実現するモジュール/デバイス関連市場 2026」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。