株式会社富士経済は、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による消費者の外出自粛で打撃を受ける外食業態向けや、休校やテレワークの普及により食数が減少する給食業態向けなど、業務用の乳油製品やデザート、冷凍食品、ステープル、その他食品の国内市場を調査しました。その結果を「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.2」にまとめました。
この調査では、バター、ナチュラルチーズなどの乳油製品7品目、アイスクリーム類や冷凍ケーキなどのデザート5品目、冷凍ハンバーグや冷凍野菜など冷凍食品29品目、冷凍米飯類、プレミックスパウダー・無糖などステープル10品目、サラダ類や山芋加工品などその他食品8品目の業務用食品市場の現状を捉え、将来を予想しました。
業務用の乳油製品やデザート、冷凍食品、ステープル、その他食品の市場は、2019年まではインバウンド需要の増加や東京五輪開催に向けてホテル・宿泊宴会場などの外食業態向けが伸びたほか、中食業態や加工食品の安定的な需要増加で拡大してきました。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により休業や営業時間の短縮を迫られた外食業態向けが大幅に減少していることや、学校の休校、テレワークの普及により食数が減少した給食業態も苦戦しています。消費者の巣ごもりによる家庭内調理頻度の増加で市販用加工食品原料となる加工用は好調ですが、市場は大幅に縮小するとみられます。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.2」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.2」の全体サマリー
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2020年見込 |
前年比 |
2021年予測 |
前年比 |
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乳油製品 |
3,344億円 |
89.0% |
3,555億円 |
106.3% |
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デザート |
873億円 |
77.9% |
979億円 |
112.1% |
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冷凍食品 |
6,161億円 |
88.5% |
6,504億円 |
105.6% |
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ステープル |
1,821億円 |
85.3% |
1,906億円 |
104.7% |
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その他食品 |
1,326億円 |
85.8% |
1,392億円 |
105.0% |
乳油製品は、2020年はプロセスチーズ、ナチュラルチーズ、チーズフード類が、加工用で製パンメーカー、冷凍食品メーカー向けで堅調ですが、市場規模が大きいバターやマーガリン・ファットスプレッドが中食業態でベーカリーショップ向けが低迷しています。また、外食業態でも利用客数激減の影響を受けて苦戦しており、市場は縮小するとみられます。今後は人手不足が深刻化していることから、作業性の向上を訴求した商品や賞味期限が長いなど機能性を訴求した商品で需要を獲得していくと予想されます。
デザートは、2020年はアイスクリーム類が外食業態の人手不足を背景にメニュー数が削減される傾向にあるほか、外食各業態の利用客数減により需要が減少し、大幅に縮小するとみられます。また、冷凍ケーキも外国人観光客および国内客の激減を受けたホテル向けの需要が減少するなど苦戦を強いられており、大幅に縮小するとみられます。今後はアイスクリーム類においては少容量タイプが需要を獲得していくと予想されます。
冷凍食品は、2020年は外食業態向けが大幅に縮小しています。一方でデリバリー・テイクアウトサービスを開始する店舗が増えており、経時変化に強い商品の需要が増えています。量販店では、コロッケや天ぷら、やきとりなどトングを利用するバラ売りの販売を休止する店舗が多く、これらの品目は需要が大幅に減少し、市場は縮小するとみられます。今後も冷凍フライ全般、冷凍やきとり、冷凍天ぷらが量販店においてバラ売りの休止が継続するとみられますが、パック入りや袋入りなど包装済み商品は経時変化も少ない点などが支持され需要が増えると予想され、2021年は前年比5.6%増が予測されます。
ステープルでは、2020年は市場規模が大きいプレミックスパウダー・無糖が外食業態や中食業態向けでは苦戦していますが、冷凍食品メーカー向けの加工用が堅調に推移しているほか、経時変化が少ない機能性を訴求した商品の需要が増えています。プレミックスパウダー・加糖は、近年高級食パンのブームの追い風を受けていましたが、2020年はベーカリーショップなどを中心に客数が減少するなど、前年比マイナスになるとみられます。今後は人手不足に対する需要へのアプローチが積極的に図られ、特に機能性や簡便性の高い商品が展開されるとみられます。
その他食品は、2020年にサラダ類、ツナ加工品、卵焼き類などの加工用ほか、山芋加工品が給食業態で高齢者施設・病院向けがメニュー提案や新規開拓が進んだことで伸長しますが、カテゴリー全体の需要縮小はカバーできず、市場は縮小するとみられます。今後はサラダ類や卵焼き類、どんぶりの具など加工度の高い品目が、外食業態において高まる人手不足に対応した需要を獲得すると予想されます。また、ジャム類では中食業態において素材感を訴求した商品向けに付加価値を高めるニーズが高まっているほか、サラダ類では断面の彩りなどを意識した商品や提案が進むとみられ、2021年以降市場回復が期待されます。
◆注目個別市場サマリー
1.冷凍鶏のから揚げ類
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2020年見込 |
前年比 |
2021年予測 |
前年比 |
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530億円 |
81.4% |
570億円 |
107.5% |
鶏のから揚げ、鶏の竜田揚げ、鶏の一枚揚げ、チキンナゲットなどの冷凍加工品を対象とします。
用途やシーンを選ばないメニューで使用できるため採用業態が幅広く、価格帯や商品設計もユーザーニーズに対応しやすいことから需要が安定しています。2019年は外食業態などの人手不足の深刻化により、未加熱品から需要が流入したほか、竜田揚げや有名店監修メニューなどが補助的なアイテムの採用が広がり、市場は拡大しました。
2020年は主力業態の一つである量販店惣菜向けではオリジナルブランド、から揚げ専門店監修メニューなど付加価値商品が支持を得ていますが、外食のから揚げ専門店(自社製造は当市場対象外)や市販用(当市場対象外)などとの競合が激化しているほか、在宅時間が増え家庭内調理頻度が高まったことで内食へ需要がシフトし苦戦しています。
今後もグリルチキンなど他の鶏肉メニューや外食のから揚げ専門店など他業態の台頭により、競合がさらに激化すると予想されます。しかし、定番メニューではあるがメニュー自体は家庭での調理が比較的簡単であることから、独自性の高い下味やスパイス、ソースがけなどの付加価値のあるメニューで需要獲得を図る動きが活性化すると予想され、2021年は市場回復に向かうとみられます。
2.冷凍餃子
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2020年見込 |
前年比 |
2021年予測 |
前年比 |
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122億円 |
92.4% |
130億円 |
106.6% |
製造後に冷凍加工した餃子を対象とし、冷凍生餃子(未加熱)、加熱済餃子(焼き目なし)、加熱済餃子(焼き目あり)、水餃子を対象とします。
2019年は、外食における主力業態のラーメン店でサイドメニューとして採用が進み、フードコートなどでは焼き目付きの商品がオペレーション軽減につながることで導入が増えたほか、中食業態で中華メニューを強化するチェーンが増え、需要が高まり、市場は拡大しました。
2020年は、外食業態で休業や営業時間の短縮を実施する店舗が多いため食数の落ち込みが大きいほか、これまで市場をけん引してきた中食業態向けの需要が、市販用冷凍食品や家庭で手作りするという内食にシフトし、市場は縮小するとみられます。
今後は、外食業態や給食業態において大袋で低価格商品のニーズが強まるほか、自然解凍、経時変化の抑制など高付加価値の商品開発も進むとみられます。
【参考】本記事で使用した「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.2」に掲載している調査対象市場
乳油製品
- バター
- マーガリン・ファットスプレッド
- プロセスチーズ
- ナチュラルチーズ
- チーズフード類
- 生クリーム類
- 冷凍ホイップ済みクリーム
デザート
- アイスクリーム類
- ソフトクリーム・シェイクミックス
- 冷凍ケーキ
- 冷凍プリン
- 冷凍ゼリー
冷凍食品
- 冷凍ハンバーグ
- 冷凍肉団子・ミートボール
- 冷凍鶏のから揚げ類
- 冷凍フライドチキン
- 冷凍やきとり
- ソーセージ類
- 冷凍グラタン類
- 冷凍餃子
- 冷凍焼売
- 冷凍春巻
- 冷凍ポテトコロッケ
- 冷凍クリームコロッケ
- 冷凍トンカツ
- 冷凍メンチカツ
- 冷凍ハムカツ類
- 冷凍チキンカツ
- 冷凍ササミカツ
- 冷凍串揚げ
- 冷凍水産カツ
- 冷凍水産から揚げ
- 冷凍えび・いか・かきフライ
- その他冷凍水産フライ
- 冷凍切り身魚(骨なし、骨ごと)
- 冷凍焼き魚
- 冷凍煮魚
- 冷凍天ぷら
- 冷凍野菜
- 冷凍お好み焼き
- 冷凍たこ焼き
ステープル
- 冷凍米飯類
- 冷凍そば
- 冷凍うどん
- 冷凍中華めん
- 冷凍焼そば類
- 冷凍パスタ
- 乾燥パスタ
- プレミックスパウダー・加糖
- プレミックスパウダー・無糖
- から揚げ粉
その他食品
- サラダ類
- 惣菜フィリング
- ジャム類
- ツナ加工品
- 卵焼き類
- どんぶりの具
- 豆加工品
- 山芋加工品
◆本記事は「業務用食品マーケティング便覧 2020 No.2」より一部取り上げ、主要なポイントを抜粋しました。調査レポートの目次や調査サマリーなど詳細はこちらでご確認いただけます。