株式会社富士キメラ総研は、自動運転レベル2+(プラス)車両やNoA対応車の増加、高速車内通信Ethernet/SerDesの普及、冗長設計や機能安全(ASIL)対応に向けた高機能化などにより、今後益々搭載が進む車載ECUの世界市場を調査しました。その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2026 下巻」にまとめました。
この調査では、自動車に搭載される主要なECUの市場を、パワートレイン系、xEV系、走行安全系、ボディ系、情報通信系、センサー/モーター/その他に分類して現状を分析し、将来を展望しました。また、ECUを構成するデバイス、接続するデバイスの市場についても地域ごとにその動向を捉えました。なお、この調査のシリーズ企画「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2026 上巻」では車載電装システム、関連デバイス&コンポーネンツの世界市場を調査しており、その調査結果の概要については4月21日に公開しています。
なお、本記事以外にも、より詳細な市場構造、市場シェア、参入企業動向などをお知りになりたい方は、「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2026 下巻」をご購入の上、ご覧いただければ幸いです。
◆当該資料の全体サマリー
1.車載ECUの世界市場

2025年の市場は、前年比6.0%増の26兆4,198億円が見込まれます。パワートレイン系を除き各カテゴリーが伸長して2035年には2024年比51.7%増の37兆8,114億円が予測されます。
パワートレイン系の市場は、EV需要の伸びが鈍化し、内燃機関を搭載するHVやPHVなどの需要が増加したことから、縮小のペースが緩やかとなりました。なお、新興国や北米などは需要が増加するものの、2030年以降はEVシフトに伴い減少に転じると予想されます。
xEV系の市場は、EV需要鈍化の影響を受けていますが、MHVやHV、PHV需要が増加していることにより拡大すると予想されます。新興国などにおける現状の電線網やEVスタンドの設置状況を踏まえるとハイブリッド車両を中心に市場が形成されていくとみられます。
走行安全系の市場は、ADAS/ADSの高度化を背景にECUの高機能化が進み拡大が予想されます。
ボディ系の市場は、中央集権型E/Eアーキテクチャーを採用した車両の発売により、ゾーン型ボディコントローラーを中心に拡大すると予想されます。
情報通信系の市場は、SDVやE/Eアーキテクチャーの中央集権化を背景に、CDCやTCUなどの通信機能を制御するECUの需要が増加しており、拡大が予想されます。
自動車1台当たりのECU平均搭載数量

自動車1台当たりの平均搭載個数は、2025年に前年から0.5個増加して15.6個が見込まれます。今後は年平均で約0.29個ずつ増加して2035年には18.3個になると予測されます。
パワートレイン系の平均搭載数量は、1個から2個で、トランスミッションECUの搭載が減るため僅かに減少していきます。xEV系は、2個から3個程度で、自動車の電動化によって増加していきます。走行安全系は、5個から6個で、半分強がEPSやESC-ECU、エアバッグECUなどのパッシブセーフティ機能を制御するECUで構成されています。今後はアクティブセーフティ機能を制御するECUなどが搭載数量を押し上げます。ボディ系は4個から5個で、ゾーン型ボディコントローラーやBCUを中心にHVAC-ECUやDC・DCコンバーター、シートECUなどで構成されます。今後は新機能を制御するECUの増加、ゾーン型ボディコントローラーを採用する車両の増加で平均搭載数量は増えていきます。情報通信系は、車載メーターやHead Unit、CDCなどで構成されます。近年はSDV化を背景にCDCやTCUなどの外部通信システムを中心に搭載率が上昇しています。
2.ECU構成デバイス、ECU接続デバイスの世界市場

ECU構成/接続デバイスの市場は、自動車の電装化に伴って拡大しています。半導体や回路部品の市場は、半導体センサーやECU接続デバイスよりも高成長すると予想されます。特にxEV系領域におけるパワー半導体や、ADAS/ADS-ECU、インバーター、CDC、ゾーン型ボディコントローラーに実装される部品は、耐圧性や高い演算性能、セキュリティ性、高周波特性などさまざまな性能が要求されます。パワーモジュールや車載マイコン、SoC/FPGAなどでは、高付加価値製品の増加によって市場の平均価格帯が上昇しています。センサーやECU周辺デバイスは高度なシステムに向けた製品もあるものの、半導体や回路部品とは異なり1台当たりの搭載数が少ないケースや、電動シフトや無線化によってマイナスの影響を受けやすい製品も多くあるため半導体や回路部品よりも低い成長率になると予想されます。
◆注目個別市場サマリー
1.ボディ系ECU

ボディ系ECUはウインドウやドア、照明などのほか、車内の快適性・利便性を向上させる機能を制御します。
自動車生産台数に比例するECUが多いものの、近年はキャビンセンシングやWPAN(Wireless Person Area Network)を利用した無線機能を制御するECUを中心に市場が拡大しています。今後はE/Eアーキテクチャーの中央集権化に伴って、自動運転レベル2+以上の高度なADAS/ADS搭載車などのBCU(Body Control Unit)からシフトするゾーン型ボディコントローラー、また、ゾーン型の次世代BCUが増加して市場は拡大すると予想されます。
国・地域別にみると、日本では車両の電装化率が比較的高いことから、自動車生産台数に比例して市場は推移します。今後は人口減少による自動車需要の縮小や、米国内生産政策の影響で自動車生産台数が減少することから市場は縮小すると予想されます。欧州では日本と同様に電装化率の高い車両が多く、自動車生産台数に比例して市場は推移します。北米では関税政策によって日本の自動車メーカーなどを中心に生産台数が増加、また、ボディ系領域の高機能化もあり、市場は拡大すると予想されます。中国では急速なEVシフトを背景に搭載率の上昇が見られました。特にハイエンドモデルなどでの車内空間のラウンジ・スパ化が後押しし、市場が拡大するとみられます。その他韓国を除くインドやブラジル、中東エリアなどでは基本的な機能のみを搭載する車両が多いですが、近年はヘッドランプのLED化やTPMS、キーレスなどのWPAN技術を利用したアプリケーションの搭載が増えており、市場は拡大しています。
2.半導体(ECU構成デバイス)

半導体では車載マイコンやSoC/FPGAの市場規模が大きいですが、2035年に向けた成長率はDRAMやNANDが高いです。
DRAMは、車両のSDV(Software Defined Vehicle)対応に伴いCDC(Cockpit Domain Controller)やHead Unitのメモリー容量が増加しているほか、自動運転レベル2+車両の増加によるADASドメインコントローラー需要の伸びにより市場が拡大しています。また、データセンターのDRAM需要増加を背景とした価格高騰が市場拡大の要因にもなっています。インフォテインメント機器における平均搭載容量の増加、ADAS需要と平均搭載容量の増加が続くことから、市場は長期的に拡大すると予想されます。
NANDは、インフォテインメント機器やEDR(Event Data Recorder)の容量拡大ニーズに伴い、市場が拡大しています。また、価格上昇も市場拡大の要因の一つです。ADAS/ADS搭載の進展に伴い、カメラやミリ波レーダー、LIDARなどで大量に発生したデータを処理することから、自動運転レベルの上昇とともに、要求されるストレージ容量も増加しています。SDV化に伴い、車内エンターテインメントの充実化に伴う動画コンテンツ用ストレージなどの新たな需要も期待されることから、市場は長期的に拡大すると予想されます。
【参考】本記事で使用した「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2026 下巻」に掲載している調査対象市場
1.ECU
1)パワートレイン系
- エンジンECU
- トランスミッションECU
- その他
2)xEV系
- インバーター
- OBC
- BMS
- その他
3)走行安全系
- ADAS/自動運転システム(ADS)ECU
- ESC-ECU
- EPS-ECU
- エアバックECU
- その他
4)ボディ系
- ゾーン型ボディコントローラー
- BCU
- HVAC-ECU
- シートECU
- その他
5)情報通信系
- CDC
- Head Unit
- メーターECU
- TCU
- HUD
- その他
6)センサー/モーター/その他
- センサー
- モーター
- その他
2.ECU構成デバイス
1)半導体センサー
- 圧力センサー
- 加速度センサー/角速度センサー
- 磁気センサー
- イメージセンサー
- 温度センサー
- 電流センサー
2)半導体
- 車載マイコン
- SoC/FPGA
- DRAM
- NAND
- パワー系ディスクリート
- パワーモジュール
- セルラーモジュール
- 車内LANトランシーバー
- ドライバーIC
- 電源IC(PMIC/レギュレーター)
- バッテリー監視IC
3)半導体
- アルミ電解コンデンサー/ハイブリッドコンデンサー
- インダクター
- 積層セラミックコンデンサー
- タイミングデバイス
- チップ抵抗器
- IPD
- 車載リレー
- プリント配線板
3.ECU接続デバイス
- ワイヤハーネス
- 車載コネクター
◆本記事は「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2026 下巻」より一部取り上げ、概要をご紹介しました。当該資料の目次や内容の詳細はこちらでご紹介しています。